昭和30年代の生活・自然環境は地域の主産業であるイカ一本釣漁業が大きくかかわっている。
朝日が昇る頃には、前沖での漁を終え浜から100メートル程の沖合いに停船する。今度は浜から磯舟をこぎ、網袋に入れたイカを受け取るにいく。この「はしけ」という作業は私の役目で、少々の高波でも風を読み、波を知り、磯舟を操る技術を身につけたのも、父の背中を見て学んだ財産の一つです。
浜に着けばイカさき、さいたイカは丸かごに入れて波際の海水で洗い、洗ったイカは夏場は「塩イカ」に・秋は「スルメイカ」と夜遅くまでの作業が続いた。当時の砂浜はイカ干しに欠かせない「スダレ」と「わら縄カーテン」で、歩くことさえ容易でなかった。
このイカが生活を支え今日の私達がある。
また、イカは私達だけでなく沿岸に生息する魚・ガニ等にも恩恵があり、現在失いかけている循環型の自然環境があった。大げさな言い方かも知れないが足の踏み場もないくらい大きく丸々とした「ヒラツメガニ」がいた。今は遠い昔話です。
ガニ漁は6月頃から、夕方に磯舟で「ガニたも」と呼んだ道具を等間隔に投げ込み、少々の時間経過後に順次引き上げる「流し漁」と、碇を下ろし停船状態で「ガニたも」を投げ入れる二通りの方法で漁をしていた。漁の場所探しと確保には子供ながらの経験が必要だった。
大漁したとき、大きな鍋を囲んで食べた味は今でも忘れることが出来ない。
今は砂浜から重りをつけたナイロンの網にイカか魚を餌にして投げ釣りで釣っている。収穫は?
小さく見える船はガニ漁でなく、刺網漁です。
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