津軽海峡で行われている春のタコ漁のかごに付着した海藻に、尾を絡みつけて体を固定したまま船上に引き上げられた(タツノオトシゴ「竜の落とし子」)
見た目にも非常に変わった生き物ですが、腹びれと尾びれはないが小さな背びれと胸びれを持ち、エラ呼吸をしながら体を直立させ頭部が前を向く姿勢で、素早く泳ぐ事はできないが潮の流れに身をまかせながらも散歩でもしているかのような泳ぎをする不思議な魚です。何故、こんな厳しい自然界で生き永らえるのか。
こんな体型ではプランクトンしか食べられないのではと思われがちですが、なんと魚卵・小魚・カニ・ヨコエビなどを食するようで驚きです。また、褐色の体が周囲の環境に紛れ込み擬態になることで身を守り、適正水温(13度から20度)になれば活動が活発になり、春に5~20mmで親と同じ形をした子供を数十から数百匹を生み、その生存率は2匹程度とか。
引き上げられたタツノオトシゴは食用にならないことから観賞用として飼育されることが多い。
真紅の道が津軽海峡に浮かび上がったとき、この不思議な魚は天を目指して泳ぎ出すのだろうか。
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