9月以降、低気圧が下北半島を幾度となく通過する度に津軽海峡の風はすざましい大粒の涙と荒げた大声を引き連れて走り去り又、日頃は子守唄に聞こえる波も二重三重に連なる山から怒涛の音を鳴き散らしながら海岸に押し寄せてくる。こんな光景を初対面の方が目の前にしたら恐怖で一睡も出来ない夜を過ごすことになるだろう。
低気圧が去った海峡は高波で海底が洗われ、石に根を張る真コンブが剥ぎ取られ潮の流れに乗って漂流する。この真コンブを拾うたくましい光景が地域における秋の風物詩でもあり生活の糧を得る生活実態そのものである。
長さ3メートル、幅25センチメートルの実の厚い真コンブ。商品化するまでには天候と相談しながらの天日干しと付着した砂落としをして一定の長さに切断した上で市場に出回るし、二枚橋で育った方などへの贈答品としても喜ばれている。根コンブも好評。
コンブ拾いにいつも見られる馴染みの顔が見えないことが気がかりです。ここにも高齢化の波が押し寄せているもののコンブを通した食の味は体に染み付いていて忘れることが出来ない。これこそが高波がくれた自然の恵みという財産なのでは。
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